【中小企業診断士】40代・50代からの勉強法|記憶力の不安と合格のコツを最新科学で解説

「若いころより覚えが悪くなった」「40代・50代から7科目も勉強して間に合うのだろうか」。中小企業診断士を目指す社会人から、よく聞かれる不安です。
実際には、1次試験では40代・50代が申込者・合格者それぞれの約半数を占め、2次試験でも合格者の4割強がこの年代です。また心理学の研究では、年齢とともに下がりやすい能力がある一方で、保たれやすい能力があることや、55〜65歳の人でも若い人と同じように効果がみられた勉強法があることもわかっています。
この記事では、公式の受験者データと学習に関する研究をもとに、40代・50代から中小企業診断士を目指すための勉強法を解説します。
この記事でわかること
- 40代・50代の受験者・合格者がどのくらいいるか
- 年齢とともに変わる能力と、変わりにくい能力
- 40代・50代にもおすすめの効果が確かめられた勉強法
- 仕事と両立しながら勉強を続けるコツ
中小企業診断士試験の申込者のうち、40代・50代は約半数を占める
令和8年度の1次試験では、40代が申込者の27.6%を占め、年代別で最も多い層でした。50代の24.0%と合わせると、40代・50代で申込者の約半数になります。
【受験者データのポイント】
- 40代は申込者の27.6%で、年代別で最も多い
- 1次試験では、40代・50代が申込者・合格者ともに約半数を占める
- 2次試験でも、合格者の4割強が40代・50代
- 合格者の最年長は76歳

令和8年度 中小企業診断士第1次試験の年代別 申込者数・合格者数
年代 | 申込者数(人) | 試験合格者数(人) |
|---|---|---|
20〜29歳 | 3,521 | 590 |
30〜39歳 | 6,565 | 1,199 |
40〜49歳 | 7,053 | 1,107 |
50〜59歳 | 6,131 | 924 |
60〜69歳 | 1,865 | 257 |
出典:一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「令和8年度中小企業診断士第1次試験に関する統計資料」(20歳未満、70歳以上は省略)
1次試験合格者でも、40代が27.0%、50代が22.5%で、合わせると約半数です。合格者の最年長は76歳でした。40代・50代から中小企業診断士を目指すのは、決して珍しいことではありません。
2次試験(令和7年度)では、40代・50代が申込者の52.5%、合格者の43.9%を占めました。1次試験ほどではありませんが、2次試験でも合格者の4割強がこの年代です。
受験者の勤務先や年代の傾向は、【最新データ】中小企業診断士一次試験の受験者層を徹底解説!でも詳しく紹介しています。
歳をとると学習は不利?「流動性知能」と「結晶性知能」
年齢とともに下がりやすい能力はありますが、すべての能力が一様に下がるわけではありません。心理学では、知能を大きく2つに分けて考えることがあります。
【年齢と知能のポイント】
- 初めての問題をすばやく解く「流動性知能」は、年齢とともに下がりやすい
- 知識や語彙などの「結晶性知能」は、中年以降も保たれやすい
- 記憶や推論は40代後半からわずかに下がるが、語彙は下がらない
知能には2つのタイプがある
1つは、初めての問題をすばやく考えて解く「流動性知能」です。もう1つは、経験や学習を通じて積み上げた知識や語彙などの「結晶性知能」です。
古典的な研究(Horn & Cattell, 1967)では、流動性知能は若いうちに頂点を迎えて年齢とともに下がる一方、結晶性知能は中年以降も保たれたり、伸びたりすることが示されています。
能力によって「ピーク」の時期は違う
さまざまな認知能力を調べた研究(Hartshorne & Germine, 2015)では、高校卒業のころにピークを迎える能力もあれば、30代ごろまで保たれる能力、40代以降にピークを迎える能力もありました。「頭の働きのピークは若いころに1回だけ」というわけではないのです。
40代後半でも記憶や推論はわずかに下がるが、語彙は保たれる
一方で、「60歳までは衰えない」というわけでもありません。同じ人を10年間追いかけた研究(Singh-Manoux et al., 2012)では、記憶や推論の成績は45〜49歳の人でもわずかに下がっていましたが、語彙は下がっていませんでした。
つまり、「新しいことをすばやく覚える力」は少しずつ下がりやすい一方で、「言葉や知識の蓄え」は保たれやすいと考えられています。「若いころより覚えが悪くなった」という感覚には、研究の裏づけもあります。だからこそ、次の章で紹介するような「効率のよい学び方」を選ぶことが大切です。
40代・50代にもおすすめの勉強法
覚える力が少しずつ下がるなら、効率のよい勉強法を選ぶことがいっそう重要になります。ここでは、研究で効果が確かめられている方法を3つ紹介します。
【40代・50代におすすめの勉強法】
- 読み返すより「解いて思い出す」
- まとめてやるより「間をあける」
- 本番と同じ形式で練習する
読み返すより「解いて思い出す」
文章を覚える実験(Roediger & Karpicke, 2006)では、直後のテストでは読み返したグループのほうが成績がよかったものの、1週間後には、思い出す練習をしたグループが約6割を覚えていたのに対し、読み返したグループは約4割にとどまりました。
この効果は若い人だけのものではありません。55〜65歳の人を含めた実験(Meyer & Logan, 2013)でも、テストで思い出す練習をすると、読み返すよりもよく覚えられるという効果が、大学生と同じようにみられました。テキストを何度も読み返す時間を、問題を解いて思い出す時間に置き換えていきましょう。
まとめてやるより「間をあける」
同じ量を勉強するなら、一度にまとめるより、日を分けて繰り返したほうが記憶に残りやすいことがわかっています(Cepeda et al., 2006)。さらに、覚えておきたい期間が長いほど、復習の間隔も長めにとるほうがよいとされています。
1次試験は7科目と範囲が広く、本番までの学習期間も長くなります。間隔を広げながら繰り返し復習することで、直前の詰め込みに頼らない学習につながります。
本番と同じ形式で練習する
多くの研究をまとめた分析(Adesope et al., 2017)では、練習問題を解くことは読み返しなど他の学習法より効果が高く、練習と本番の問題形式が同じときに効果が大きくなるとされています。
中小企業診断士の1次試験はマークシートの選択式、2次試験は記述式です。基礎を固めたら、それぞれ本番と同じ形式の過去問で練習を積んでいきましょう。
仕事の経験・知識と結びつけて学ぶ
40代・50代の強みは、これまでに蓄えてきた知識です。その知識を新しい学習につなげることも、効率のよい勉強法の1つです。
【経験・知識を活かすポイント】
- 知っていることと結びつけて学ぶ
- 「なぜ?」と自分に問いかける
知っていることと結びつく情報は覚えやすい
すでに持っている知識と結びつく情報は覚えやすく、その知識を活かして学ぶ力自体は年齢によってほとんど変わらない、という研究のまとめがあります(Brod & Shing, 2022)。
中小企業診断士は、企業経営や財務、業務の運営など、仕事を通じて得た経験を活かしやすい資格でもあります。新しい単元を学ぶときは、「自分の職場ではどうだったか」と結びつけながら学んでみましょう。
「なぜ?」と自分に問いかける
「なぜこれは正しいのか?」と自分に問いかけて答える方法は、研究者の間では「精緻化質問」と呼ばれています。さまざまな学習法を比較した論文(Dunlosky et al., 2013)では「効果は中程度」と評価されており、その分野の知識がある人ほど効果が大きい傾向があるとされています。
たとえば中小企業政策であれば「なぜこの支援策がつくられたのか」、経営法務であれば「この制度は誰を守るためのものか」と問いかけると、丸暗記ではなく理由とセットで理解できます。まずは講義で基礎を学び、そのうえで「なぜ?」と問いかける順番で取り入れてみてください。
忙しい40代・50代が勉強を続けるための習慣づくり
仕事や家庭で忙しい世代にとって、勉強法と同じくらい大切なのが「続け方」です。
【勉強を続けるコツ】
- 「いつ・どこで・何をするか」を決めておく
- 21日で習慣にならなくても焦らない
- 週末に振り返り、次の計画に活かす
「いつ・どこで・何をするか」を決めておく
「勉強しよう」と思うだけでは、なかなか行動に移せないものです。「もし〇〇になったら、△△をする」と前もって決めておく方法は、複数の研究結果をまとめた分析で、目標の達成を後押しする効果が中〜大程度あると報告されています(Gollwitzer & Sheeran, 2006)。たとえば「平日の通勤電車で講義を1本と確認テスト」のように、時間と場面を決めておきましょう。
習慣は「21日」では身につかなくてもいい
「習慣は21日で身につく」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、新しい健康的な行動を毎日続けてもらった研究(Lally et al., 2010)では、行動がほぼ自動的にできるようになるまでの日数は中央値で66日で、個人差も大きいものでした。また、1日やらなかったくらいでは、習慣づくりにはほとんど影響がありませんでした。
3週間で習慣にならなくても、焦る必要はありません。出張や残業で1日できない日があっても、翌日から再開すれば十分です。ただし、休みが続かないようにしていきましょう。
週末に振り返り、次の計画に活かす
学習を「計画する」「実行しながら様子を確かめる」「振り返って次に活かす」のサイクルとして捉える考え方があります(Zimmerman, 2002)。週末に1週間を振り返り、確認テストで解けなかった単元を翌週の計画に入れてみましょう。
Shikaku Passで実践するには
ここまで紹介した勉強法は、Shikaku Passの中小企業診断士講座でそのまま実践できます。

研究で効果が示された勉強法と、Shikaku Passでの実践方法
研究で効果が示されたこと | Shikaku Passでの実践方法 |
|---|---|
解いて思い出す | 講義動画を見終えたら、確認テストで思い出す |
間をあけて繰り返す | 間違えた問題を、翌日や数日後に解き直す |
本番と同じ形式で練習する | 過去問を利用して、日ごろの解き直しの中で本番と同じ形式の問題にも慣れていける |
知識と結びつける・「なぜ?」と問う | 講義で全体像をつかみ、答え合わせの前に理由を説明してから解説を読む |
時間と場面を決めて続ける | 1回30分で講義から確認テストまで進められるので、通勤時間などに組み込みやすい |
Shikaku Passなら、1講義1テーマで、スマホ1台あれば1回30分で講義から確認テストまで進められます。じっくり紙で読みたい方には、製本テキスト付きの「1次試験/2次試験合格対策パック」もあります。
まずは7日間の無料体験で、講義と確認テストの流れを試してみてください。
よくある質問
Q. 40代・50代からでも中小企業診断士に合格できますか?
令和8年度の1次試験では、合格者の約半数が40代・50代で、合格者の最年長は76歳でした。2次試験(令和7年度)でも、合格者の4割強が40代・50代です。年齢だけで合否が決まるわけではありません。
Q. 記憶力の衰えが心配です。
記憶や推論の成績は40代後半からわずかに下がる一方で、語彙などの知識は保たれやすいとされています。また、問題を解いて思い出す練習の効果は、55〜65歳の人でも大学生と同じようにみられています。読み返すより解く時間を増やすのがおすすめです。
Q. 仕事が忙しく、勉強が続かないことがあります。
「平日の通勤電車で講義を1本」のように、時間と場面を決めておくと続けやすくなります。習慣は21日では身につかないことも多く、1日できなかったくらいなら影響は小さいとされています。
Q. 若い受験者と比べて不利ですか?
能力によってピークの時期は異なり、40代以降にピークを迎える能力もあります。すでに持っている知識を活かしながら、効果の確かめられた学び方を続けることが大切です。
まとめ:40代・50代は「学び方」で差がつく
- 40代・50代は、中小企業診断士1次試験の申込者・合格者の約半数を占め、2次試験でも合格者の4割強を占める
- 新しいことをすばやく覚える力は少しずつ下がるが、語彙や知識は保たれやすい
- 解いて思い出す練習の効果は、55〜65歳でも大学生と同じようにみられる
- 間をあけた復習、本番と同じ形式の練習、知識と結びつけた理解も効果的
- 時間と場面を決めて、焦らず続けることが大切
年齢を理由にあきらめる前に、学び方を見直してみてください。Shikaku Passの中小企業診断士講座なら、講義から確認テストまでをスマホ1台で繰り返せます。
※本記事の受験者データは、1次試験が令和8年度中小企業診断士第1次試験に関する「統計資料」(令和8年9月1日 公表)、2次試験が令和7年度中小企業診断士第2次試験に関する「統計資料」(令和8年2月4日 公表)に基づいています。
参考文献
- 一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会(2026)「令和8年度中小企業診断士第1次試験に関する統計資料」
- 一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会(2026)「令和7年度中小企業診断士第2次試験に関する統計資料」
- Horn, J. L., & Cattell, R. B. (1967). Age differences in fluid and crystallized intelligence. Acta Psychologica, 26, 107–129.
- Hartshorne, J. K., & Germine, L. T. (2015). When does cognitive functioning peak? The asynchronous rise and fall of different cognitive abilities across the life span. Psychological Science, 26(4), 433–443.
- Singh-Manoux, A., Kivimaki, M., Glymour, M. M., Elbaz, A., Berr, C., Ebmeier, K. P., Ferrie, J. E., & Dugravot, A. (2012). Timing of onset of cognitive decline: Results from Whitehall II prospective cohort study. BMJ, 344, Article d7622.
- Roediger, H. L., III, & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249–255.
- Meyer, A. N. D., & Logan, J. M. (2013). Taking the testing effect beyond the college freshman: Benefits for lifelong learning. Psychology and Aging, 28(1), 142–147.
- Cepeda, N. J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J. T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380.
- Adesope, O. O., Trevisan, D. A., & Sundararajan, N. (2017). Rethinking the use of tests: A meta-analysis of practice testing. Review of Educational Research, 87(3), 659–701.
- Brod, G., & Shing, Y. L. (2022). Are there age-related differences in the effects of prior knowledge on learning? Insights gained from the memory congruency effect. Mind, Brain, and Education, 16(2), 89–98.
- Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improving students' learning with effective learning techniques: Promising directions from cognitive and educational psychology. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58.
- Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119.
- Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009.
- Zimmerman, B. J. (2002). Becoming a self-regulated learner: An overview. Theory Into Practice, 41(2), 64–70.

